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宣教医ヘボンと和訳聖書


宣教医ヘボンの来日


1853年にペリーが来航し、開国した日本ですが、ハリスの奮闘で1858年に日米修好通商条約が結ばれ、港が開かれて、外国人は居留地で教会堂を建てることができるようになりました。それで1859年から続々と日本に宣教師が派遣されて来るようになったのです。中でも有名な人は宣教医ヘボンです。ヘボンは医師で、無料で医療奉仕をしながら宣教していったので「宣教医」とよばれています。

ヘボンを始めとする宣教師たちは、名目上は「外国人のための」教会のために来日したわけですが、皆日本宣教を夢見て海を越えやって来ていました。しかし日本ではまだ「宣教」は許可されていなかったので、将来の伝道を展望しつつ、宣教師同士、教派を超えて協力し、現状でできることを模索していきました。

日本人教師を雇って日本語を習得し、また日本人には英語を教え、そのうちヘボンは仲間の宣教医と共に施療所を設けて日本人を診療するようになりました。また禁教令が解かれた暁には、日本人が聖書を読めるようにしようと聖書和訳を考えたのですが、そのためにはまず和英辞書が必要であろうということで、その編纂を手がけました。

そして「和英語林集成」という世界初の本格的な和英辞書を出版しました。その第三版から使われるようになったのが「ヘボン式ローマ字」です。この辞書と日本語をローマ字表記できるようになったことが、開国後の日本人が外国の知識を吸収したり、逆に外国人が日本人に教えたりするのに大変役に立ちました。


プロテスタント最初の受洗者と横浜海岸教会


日本で最初にプロテスタントの洗礼を受けた日本人は、矢野隆山という鍼灸師でした。漢文などを読みこなす教養のある人で、それを買われて宣教師バラの日本語教師になり、キリスト教を信じるようになりましたが、世は禁制の時代なので、洗礼を受けることをためらっていました。しかし結核にかかってしまい、診てもらったヘボンから余命いくばくもないことが告げられ、病床でバラから洗礼を受けたのです。

受洗したのは1865年のことで、高札が撤去されるのが1873年なので、まだ禁教下でした。バラは、高札をものともせず熱情的に伝道する人で、1863年に日本に滞在するアメリカ人を中心にヨコハマ・ユニオン・チャーチを組織して、日本のために熱心に祈り、それと並行して1866年には日本人のための礼拝を開始しました。そして1871年にはついに、プロテスタントで最初の教会を横浜に建てました。これが横浜海岸教会です。

しかしこの頃は、宣教師の方は名目があるので堂々としていられましたが、太政官の「キリスト教禁令」が教会のすぐそばの高札場にも掲げられていたので、日本人は秘密裏に受洗してクリスチャンとして生きていました。

同様に、長崎でもウィリアムズやフルベッキといった宣教師が、プロテスタントの教会を建てて宣教したので、密かにクリスチャンになる者が出ました。こうして禁教令が解かれるまでに、日本ではプロテスタントの受洗者が約20人に上りました。


箱館のニコライ


北の方ではハリストス正教会のニコライが、1861年に函館のロシア領事館付きの司祭として来日し、禁教下なので日本語と文化を勉強しながら布教の時を待っていました。18682月、日本ハリストス正教会の初穂(最初の信者)で後に初の日本人司祭となる沢辺琢磨3人に洗礼を施しています。これも禁教下で行われたことでした。

沢辺琢磨は坂本龍馬の従兄にあたる人物で、元の職業は神社の宮司でした。このような転換があり、キリスト教解禁後の1885年には、正教会では約1万2千人の信徒を獲得するまでになりました。


聖書和訳への取り組み


宣教師ヘボン、ブラウン、グリーンらは、開国し発展し始めた日本にとって、今こそ一番必要なものは聖書であると考えて、1874年に「聖書翻訳委員社中」を結成し、教派を超えて協力して和訳に取り組むこととしました。日本に来ていた14ものプロテスタント教派の者たちが集まって翻訳にあたるため、意見の一致が難しく、途中で抜けていった者もいました。

しかし様々な紆余曲折を経て1880年、翻訳委員会による新約聖書の和訳が完成しました。その後、健康を害していたヘボンは夫人と共にヨーロッパに療養に行きましたが、一年後に戻ってきて再び翻訳に取り組みます。まだ旧約聖書が訳されていなかったからです。

持病のリューマチと戦いながら、毎日朝9時から午後3時半まで翻訳に割き、1887年にようやく旧約新約聖書の和訳を完了させました。多くの者がこの取り組みに参加しましたが、最初から最後まで携わったのはヘボン1人でした。




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